障害福祉サービス事業における人材確保と育成の難しさ:課題と解決策
障害福祉サービス事業を運営していく中で、人材確保と育成は事業の根幹を支える重要な課題です。近年、介護福祉士などの専門職の人材不足が深刻化しており、多くの事業者が人材確保に苦慮しています。
本記事では、障害福祉サービス事業における人材確保と育成の難しさについて、以下の3つの観点から詳しく解説いたします。
- 人材不足の深刻な現状と影響
- 人材不足の原因
- 人材確保・育成のための具体的な対策
1. 人材不足の深刻な現状と影響
厚生労働省の調査によると、2025年には介護職員が約38万人不足すると予測されています。障害福祉サービス事業も同様の状況であり、人材不足は深刻化しています。
人材不足は、以下のような影響を及ぼします。
- サービスの質の低下: 人手不足により、利用者の方々への十分なサービス提供が困難になります。
- 職員の負担増加: 人材不足を補うために、既存職員の負担が増加します。
- 利用者満足度の低下: サービスの質低下や職員の負担増加は、利用者満足度の低下につながります。
- 事業の存続危機: 慢性的な人材不足は、事業の存続危機を招きかねません。
このような事態に陥らないように、施設の運営者は人材の補充や教育に対応していかなければなりません。
2. 人材不足の原因
障害福祉サービス事業における人材不足の原因としては、以下のような点が挙げられます。
- 労働環境の悪さ: 長時間労働や低賃金などの労働環境が、人材確保を難しくしています。
- 専門性の高さ: 障害福祉サービスは専門性の高い仕事であり、十分な知識や経験を持つ人材が不足しています。
- キャリアパスの不明確さ: 将来のキャリアパスが明確でないため、人材が定着しにくいという課題があります。
- 認知度の低さ: 障害福祉サービス事業に対する認知度が低く、潜在的な求職者が応募に至らない場合があります。
- 競争の激化: 近年、障害福祉サービス事業所が増加しており、人材の獲得競争が激化しています。
また、WAM NETのアンケート調査でも、人員確保が厳しい要因については「他産業より低い賃金水準」がもっとも多く、次いで「不規則な勤務形態への嫌厭」となっています。
ただ、待遇面だけではなく、「求める水準を満たす人材がいない」との回答もあったことから、応募があっても採用につながらないといったケースも少なくないことがわかります。
3. 人材確保・育成のための具体的な対策
人材不足を解消し、事業を安定的に運営するためには、以下のような具体的な対策が考えられます。
3-1. 労働環境の改善
- 給与体系の見直し: 職員の給与体系を見直し、競争力のある水準に引き上げます。
- 福利厚生の充実: 育児休暇や介護休暇などの制度を充実させ、ワークライフバランスを支援します。
- 働き方改革: フレックスタイム制やテレワーク制度などを導入し、働きやすい環境を整えます。
そのために「働き続けられる職場づくり」として
コロナ禍を契機に、
・会議や研修のオンライン化
・イントラネット(内部ネットワークシステム)上での情報共有
・ケース記録・プランなどの電子化
・社内決裁・人事管理等のクラウド化、などに移行したケースは多い。
「これまで当たり前」だったことを合理化・効率化していく動きが加速している。
このことは、利用者等への処遇面でも変化があり、「行事やイベントの実施方法の見直し」などにより、職員の負担軽減を図ることができる。
「職員の働き方」に着目し、従来は育児・介護との両立支援(時短勤務など)だけだったところ、どの職員も「週休3日制」や「夜勤なし正社員」・「異動なし正社員」など「働き方を選択できる」制度を取り入れる先進事例も見られる。
このような「働きやすい職場づくり」を実現している職場には「ボトムアップ型(現場からの提案の採用)」の職場風土がある点が特徴である。日々状況が変わるなかで、経営者が把握しきれない現場や職員の就業課題を、いかにスピーディーに改善していくかが、働きやすい職場づくりの大きなポイントと言える。
といった施策を実践することで環境の改善に努めている障害福祉サービス施設もあります。
3-2. 専門性の向上
- 研修制度の充実: 職員のスキルアップを図るための研修制度を充実させます。
- キャリアパス の明確化: 職員のキャリアパスを明確にし、キャリアアップの機会を提供します。
- 資格取得支援: 職員の資格取得を支援し、専門性を向上させます。
障害福祉サービス施設に勤務する人材は「成長意欲」・「学習意欲」が高く、仕事を通じて「自己実現」を目指す職員が多くみられるので、自己実現をサポートする取組として
- 資格取得支援(費用の助成や特別休暇など)
- ジョブローテーション制度(希望異動制度)
- 交換研修(一時的な部署異動)
- ダブルワーク解禁
- 職場内外での研修講師の抜擢(職場内研修や提携学校での講義など)
などを通じて、職場内外で成長できる機会を設けるなど、常にスキルアップを図るチャンスがあることを職員にアピールしていく必要があります。
日常業務がルーティーン化してくると、仕事にマンネリを感じ、些細なことでモチベーションが下がってしまうことが考えられます。
こういった現象を予防するために、これらの取組が必要になりますが、施設の規模が小さいため、これらの取組が難しいケースでは、近隣の障害福祉サービス施設と連携して「交換研修」を行うなど、自施設だけではなく、周囲も巻き込んで行うことも検討すべきです。
なお、成長意欲や自己実現の仕方は各々であるため、資格取得や異動を強制するのではなく、そのような「選択肢」を設けることが大切です。
3-3. 認知度の向上
- 広報活動の強化: 事業内容や求人情報を積極的に発信し、障害福祉サービス事業に対する認知度を高めます。
- 地域との連携: 地域の学校や自治体と連携し、事業内容をPRします。
- SNS の活用**: SNSを活用して、事業内容や求人情報を発信します。
つまりは、「魅力的な職場づくり」に尽きると考えられます。
そのために、 職員同士のコミュニケーションを活性化し、風通しの良い職場環境を作り、職員のワークライフバランスを支援し、心身ともに健康に働ける環境を用意し、職員のキャリアアップを支援し、自己実現できる環境を作ることで、人材に関する問題が軽減することになります。
なかなか事業者にとっては難しいことですが、行っている施設もあります。
自分の施設では何ができるか、考えてみるのが良いと思います。
4. まとめ
障害福祉サービス事業における人材確保と育成は、事業運営の最重要課題の一つです。人材不足による課題を克服するためには、労働環境の改善、専門性の向上、認知度の向上、魅力的な職場づくりなど、多角的な取り組みが必要です。
障害福祉サービス施設の事業者は、それぞれの事業状況に合わせて、上記で紹介した対策を参考に、人材確保・育成に取り組んでいくことが重要です。
障害福祉サービス事業支援センターでは、課題解決に向けた支援を行っています。
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